天皇杯 RB大宮VS八戸 Aチームと変わらないインテンシティで。

スモールスクアッドの大宮は、アカデミーのRB大宮アルディージャU-18から2名、プロ契約選手を含めると現役高校生4名を加えて挑んだ天皇杯・ヴァンラーレ八戸戦。
試合内容は終始ほぼ圧倒したまま、2-0。まさに「勝つべくして勝った」と言えるような試合だった。

Bチーム+U-18でも落ちないインテンシティ

メンバーは小島以外を全員変更。GKに笠原、CBにヘンリーと中山、SBは茂木とU-18の井芹、アンカーに小島、IHにU-18のマシューと小林、WGにスファナットと日髙、STに杉本。ベンチにもU-18から兼頭らが入った。
現役高校生は総勢4名が入ったが、驚かされたのは、普段とシステムや大枠の戦い方が同じだからなのか、高校生とは感じさせないレベルでプレーしていたことだ。そして、リーグ戦のメンバーとほとんど変わらないインテンシティを披露した。
これは何も高校生に限った話ではない。今回選ばれたメンバー全体でインテンシティは落ちず、八戸を上回り続けた。
さすがに60分を過ぎたあたりから大きくバイオリズムは落ちたように見受けられたが、それでも「疲れた」を言い訳にできない運動量を維持し続けた。レッドブルの思想を体現するかのように、最後まで高い強度でプレーし続けたと思う。
その結果、プレスの圧力もリーグ戦のメンバーと遜色なく、強烈なインパクトを残せたはずだ。

プレスの仕組みを理解しつつ

ただただインテンシティが高いだけ、強度が強いだけでは、相手を上回るのは難しい場合がある。
この試合も完璧ではないが、プレスの構造やその枠組みは見えていた。実際、八戸は前進することにかなり苦戦していた。
八戸もまた、プレイアウトによって前進することを重視していたものの、こちらが適切な距離感を保ちながらボールにオリエンテーションしたプレスを仕掛けたことで、ミドルゾーンまでボールを運ぶことすら難しい状況に陥っていた。
ただ、トリガーに関してはまだまだこれからだろう。ナダル監督も再三、トリガーとなる場面で声を荒らげ、選手の配置についてSBやWGに対して繰り返し指示を出していた。
また、スファナットは魅力的な攻撃ができる一方で、ブロック時のポジショニングや相手にアタックするタイミングには、まだ伸びしろがあるように見える。ここは時間の問題だろう。
今回の1点目は、前半から続けていたプレッシャーから奪い取ったゴールだった。この場面が面白いのは、ナダル監督がプレスをかけるよう指示したタイミングで、実際にボール奪取に成功していることだ。

新たなポジションへの挑戦によるローテーション

この試合で特徴的だったのは、WG、ST、IHをメインに5人が、さらに2SBや1アンカーも含めて、流動的にポジションチェンジを繰り返していたことだ。
例えば、3トップの日髙、スファナット、杉本は、小林を加えながら頻繁に位置を入れ替えていた。
今や「ポジション」という概念自体を語ることが難しいのかもしれない。その位置に入ったら自分は何をすべきなのか。どんな武器を使って相手にダメージを与えるのか。
それを選手自身が理解し、自信を持ってプレーしていることが伝わってきた。そして、それを「新たなポジション」にチャレンジしているからこそ実現できているように感じる。
後半は、日髙、スファナット、小林という3トップになる場面もあれば、前半は日髙、スファナット、杉本が頻繁にローテーションしていた。
もちろん、ボールサイドにオーバーロードしていく意図もあるため、システムはあってないようなものだったが、それだけ選手同士の流動性が高かったということだろう。
恐らく、中山をアンカーの位置でも起用したことによる副産物でもあるのだろう。見えないところでかなり練習していたのではないかと思わせるほどの出来栄えだった。
もちろん、百年構想リーグや24シーズンでも起用された経験はある。しかし今回は、そのポジションで何をすべきなのかを理解したうえで、自分の持っているものを出し切っていた印象が強かった。

U-18組はそれを感じさせなかった

特に感心したのは、U-18組4人のインテンシティと、何よりもその度胸、そして自信だ。
トップチームに食い込もうとする心意気なのか。それとも、単純に自分がプロ相手にどこまでできるのかという高揚感なのか。
理由は分からないが、とにかく「高校生らしさ」を微塵も感じさせずにプレーしていた。
プロ契約を結んでいるU-18メンバーであり、百年構想リーグでも出場歴のある小林は、さらに良さを見せた。プレスにおいてもトリガーが発生した際にしっかりと仕事をこなし、特徴であるドリブルもキレが良く、コンディションの良さを見せつけてくれた。
百年構想リーグで唯一チャンスがなかったエドワードも、直近のリーグ戦でベンチ入りする理由を見せつけた。
IHでの出場となったが、ボールを受けた際のキープ力やテクニック、立ち位置などは、モーリス・レベロの時とは打って変わって大きく成長しているように見えた。
各年代で代表に選ばれているLSBの井芹は、試合に慣れ始めるとファーストタッチの質が良くなり、前へ推進するような動きも見せた。
90分間、常に上下動を繰り返し、泉からの要求さえ抑えながら、自分の得意なプレーを出していた。度胸も据わっていた。
U-19招集中の木寺とともに、未来は明るい。
唯一途中出場となった兼頭はIHで出場。やはりボールを持っても迷いがなく、落ち着いて仕事をこなしていた。
出場時間は他の3名と比べて少ないため、大きな強みを把握するのは難しい。ただ、少なくともプレーに不安を感じさせる場面はほとんどなかった。
4人全員に言えるのは、度胸があり、自分のプレーに自信を持ち、自分の良さを出そうとしていたことだ。
そして何と言っても、トップチームとアカデミーで原則や戦術がある程度共有されていることも大きいのだろう。だからこそ、トップチームに上がっても大きな迷いなくプレーできるのかもしれない。

終わりに

天皇杯をここ2年見てきたが、「戦力が落ちない」と言うのはさすがに言い過ぎだろう。
しかし、そう言いたいくらいにインテンシティ、コンディション、そして原則の明確さを感じさせる試合だったことは間違いない。
これまではどうしてもAチームとの差が大きく、「この選手をスタメンで出せないのも納得できる」と感じることが多かった。
しかし今季に関して言えば、「もっとリーグ戦に絡めるのではないか」と推薦したくなる選手が山ほどいた。
茂木と松井に関しては、ライプツィヒキャンプから合流できておらず、戦術面、コンディション面ともにこれからという印象もある。ここは長い目で見る必要がありそうだ。
リーグ戦はすぐさま湘南戦。
ここに勝てば、一気に前へと推し進めるチャンスになる。
個人的な見立てでは、昨年いわきFCと戦った際に、どうしても勝てなかったチームが醸し出していた雰囲気を、今度はこちらが相手に感じさせることができるのではないか。
そんな予想をしながら、天皇杯の振り返りを終える。